マルホンまきあーとテラス開館記念事業「漁港の肉子ちゃん」上映会＆明石家さんま／渡辺歩監督トークイベント開催のお知らせ

石巻の小さな出版社・口笛書店が映画上映会とトークショーを開催します。

イベント開催にあたって

10年ほど前に編集を担当した小説『漁港の肉子ちゃん』。
作者である西加奈子さんが震災前の石巻地方に遊びにいらしたことがきっかけで生まれたこの作品は、僕にとってとても思い入れのある一冊です。

「明石家さんまさんが映像化したいとおっしゃっている」
そんな話は、以前の職場の同僚を介して、ずいぶん前から耳にしていたのですが、正直僕の中ではテレビで見るさんまさんと、自分の故郷から生まれた『漁港の肉子ちゃん』が、イメージの中でつながらず、「本当に？」と思ってしまっていました。

昨年になって、アニメ映画として完成したという知らせを受け、驚きを引きずったまま試写で観させてもらったところ……これが本当に素晴らしい作品でした！

原作が言葉のみで創り上げた世界が、色鮮やかで瑞々しくて美しい映像になっている、というのはもちろんなのですが、物語誕生のきっかけとなった石巻地方への優しい眼差しも感じられて、それが作品に特別な温かさを与えているような気がしました。
いや実は、こんなふうに説明する必要なんてまったくなくて、とにかく面白い映画だったのです！

しかし、残念なことに――。
映画「漁港の肉子ちゃん」は、石巻地方の映画館では上映されませんでした。
周りの幾人かは仙台や利府まで観にいったとのことだったのですが、多くの人たちは「観たいけど観にいけない」、「石巻でやってくれればなあ」と呟いていました。

残念。もったいない。そしてちょっと悲しい。
そう思っていたところ、ご縁があって渡辺歩監督や製作スタッフのみなさんの思いを直接おうかがいする機会をいただき、この度、石巻で特別上映会を行うこととなりました。
「マルホンまきあーとテラス」という石巻の新しい文化のシンボルである施設で、しかも石巻市との共催という形。僕の中では“街を上げて”という気分です。

物語が生まれた場所に、物語が帰ってくる。
その瞬間をプロデューサーである明石家さんまさんや、渡辺監督、そしてこの地にお住いのみなさんとともに迎えられることを、とても嬉しく思います。
トークイベントでは、僕自身もお二人におうかがいしたいことがたくさんあります。

みなさん、どうぞお楽しみに。

口笛書店代表　日野淳